Chapter 8

第8章:【運用編】「お店」の健康診断〜Search Consoleの超入門

一生懸命に書いた記事、誰かに届いていますか? 見えない読者の足跡を可視化する、文系のためのGoogle Search Console入門。

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8-1. あなたの家(サイト)は、まだ「Googleの地図」に載っていない

自分の城(サイト)を建てて、渾身の記事をアップした。 しかし、数日待っても「アクセス数」は、家族と自分のものを除けばすべて「ゼロ」のまま。

ブログやサイトを始めたばかりの誰もが必ず直面する、この絶望的な砂漠のような状態。 これは、あなたが書いた文章がつまらないからではありません。 単に、あなたの家がまだGoogleの「地図」に載っていないからです。

Googleという巨大な町の案内人は、世界中に無数に誕生する新しい家やアパートをすべてパトロールして、リアルタイムでカタログ(検索結果)に載せているわけではありません。「ここに立派な家を建てたよ! 新しい記事を書いたよ!」と、こちらから手を挙げて知らせる必要があります。

その「市役所の登録窓口」のような役割をしてくれるのが、**Google Search Console(サーチコンソール、通称サチコ)**です。 サイト運営において、このツールの使い方を知ることは「目も耳も塞がれた状態」から「スコープ越しにターゲットを視認する状態」に移行することと同義です。

8-2. 「アナリティクス」と「サチコ」の違いとは?

ブログ運営について調べると、必ず「Google アナリティクス」と「Google Search Console(サチコ)」という二つの名前が出てきます。どちらもGoogleが無料で提供している分析ツールですが、この2つの違いを明確に答えられる人は意外と少ないです。

これを、あなたが運営している「お店(サイト)」に例えてみましょう。

🏪 Google アナリティクスは「店番の監視カメラ」

「どんな属性(年齢や性別や地域)の人がお店に入ってきて、どの店内(どのページ)を歩き回り、何分くらい滞在して、どこから帰った(離脱した)か」を記録するカメラです。 非常に詳細なデータが取れますが、個人で運営する小さなサイトの場合、「一人のお客さんが3分滞在した」という結果が出ても、そこから「次にどういう記事を書けばいいか」のアクションに繋げにくく、ただ数字を眺めて一喜一憂するだけになりがちです。

📡 Google Search Consoleは「店外の調査センサー」

「お客さんが『何という看板の文字(検索ワード)』を見て、お店にたどり着いたのか」あるいは「店の前まで来て、看板も見たのに、入らなかった人はどれくらいいるか」を教えてくれるセンサーです。 サイトを「資産」として育てていく上で、圧倒的に重要で強力なのは後者(サチコ)のほうです。 「読者がどんな悩み(検索ワード)を抱えて、Googleで検索をし、あなたの記事にたどり着いたのか」という生の答え(インサイト)が、そこには山のように眠っているからです。

8-3. 検索エンジンの仕組み:「クローラー」と「インデックス」

ここで、少しだけGoogleという巨大なインフラの仕組み(彼らがどうやってあなたの記事を見つけているのか)を解説しておきます。これを知るだけで、サチコの使い方が100倍分かります。

Googleの検索エンジンは、大きく分けて3つのステップで動いています。

  1. クロール(巡回) GoogleのAI(クローラーと呼ばれるロボット)が、ネット上のリンクを辿って「どんな新しい家(サイト)があるかな?」とパトロールしています。
  2. インデックス(登録) クローラーがあなたの記事を持ち帰り、内容を読み込んで「これは料理のレシピだな」「これはAstroの技術ブログだな」と判断し、Googleの巨大な「電話帳(索引データベース)」に登録します。
  3. ランキング(順位付け) ユーザーが「Astro 作り方」と検索したとき、電話帳(インデックス)の中から最も役に立ちそうな記事を選び出し、順位をつけて表示します。

つまり、どんなに素晴らしい渾身の1万文字の記事を書いても、ステップ2の「インデックス」が行われていない限り、検索結果(ランキング)には絶対に、永遠に載らないのです。

8-4. 最初にやるべきたった1つのこと:URL検査

サチコの登録を済ませたら、まずは記事を更新するたびにやるべき「儀式」を1つだけ覚えましょう。 これさえやっておけば、とりあえず最初のうちは合格です。

  1. サチコの画面上部にある「URLを検査」という細長い入力欄を探す。
  2. あなたが今日書き終えて公開した記事のURL(例: https://yoursite.com/posts/new-story/)をコピーして貼り付けて、Enterキーを押す。
  3. しばらく待って、「URL が Google に登録されていません」と黒いアイコンで出たら、画面にある**「インデックス登録をリクエスト」**というテキストリンクを押す。

これだけです。 これはGoogleに対して、「パトロールを待つまでもなく、新しい商品を棚に並べたから、早急に電話帳(カタログ)に載せて!」と直接電話をかけるようなものです。 これをやらないと、Googleの自動パトロールが偶然通りかかるまで、数週間も無人島状態のまま放置されることになります。静的サイトを更新したら、まずはこれをルーティンにしてください。

8-5. 宝の山「検索クエリ」を覗き見して、未来の記事を書く

記事がある程度増えてきて、検索エンジンに「インデックス」されるようになったら、いよいよサチコの左メニューから「検索結果(パフォーマンス)」を開いてみましょう。 画面の下の方に「クエリ」という一覧が出てきます。

「クエリ」とは、検索エンジンの窓に打ち込まれた実際の言葉(キーワードの組み合わせ)のことです。 ここを見ると、書き手(あなた)の予想もしなかった残酷な真実と、宝の山が見えてきます。

「『Astro ブログ 始め方』という想定で渾身の記事を書いたのに、読者は『Astro Markdown 画像 貼り方』で検索して来ている人の方が多いぞ?」

こういう発見があったら、すかさず「Markdownでの画像管理」についてより詳しく加筆(リライト)したり、あるいはそのテーマ単独で新しい記事を書いてみたりします。 読者が求めているもの(需要のクエリ)に対して、ピンポイントで答え(供給するコンテンツ)を提供する。これを繰り返すことで、あなたのサイトの「専門性(E-E-A-T)」がGoogleに高く評価されるようになります。

サチコで見るべき4つの指標

クエリの隣には、以下の4つの数字が並んでいます。

  • クリック数:実際にあなたのサイトがクリックされて読まれた回数。
  • 表示回数(インプレッション):検索結果の画面に、あなたの記事名が表示された回数。
  • CTR(クリック率):表示されたうち、何%の人がクリックしてくれたか。
  • 掲載順位:検索結果の何番目に表示されているか。(1〜10位なら1ページ目)

たとえば、「表示回数は1,000回もあるのに、クリック数が10回(CTRが1%)しかない」というクエリを見つけたとします。 これは、「検索結果の上の方には出ているのに、タイトル(看板)が魅力的じゃないから、他の家に入られてしまっている」ということを意味します。 この場合、記事の中身を直すのではなく、**記事の「タイトル」や「説明文(description)」を、より読者がクリックしたくなるような魅力的なものに変更する(リノベーションする)**のが正解です。

8-6. ツールに振り回されず、「誰に向けて書いているか」を思い出す

サチコは非常に強力なツールですが、毎日数字にかじりついて一喜一憂するのは精神衛生上よくありません。 「順位が下がった」「クエリが減った」と焦ってデザインをいじったり、無理にキーワードを詰め込んだ不自然な文章を書いたりするのは本末転倒です。

ツールに振り回される必要はありません。月に数回、あるいは気が向いた週末に、読者が残した「無言の足跡(クエリ)」をのんびり眺めながら、「なるほど、本当はこういうことが知りたかったんだな」と次の執筆のヒントをもらう。それくらいの大らかな気持ちで、サチコと付き合ってみてください。

誰も読んでくれない「日記」から、世界中の誰かに検索され続ける「資産(情報)」へとサイトが化け始めたとき、あなたの執筆は全く違う新しい風景を見せてくれるはずです。

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